2013年4月28日日曜日

オーヴェルニュ室内管弦楽団 演奏会 評

2013年4月28日 日曜日
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール (新潟県新潟市)

曲目:
(一回目)
ヴォルグガング=アマデウス=モーツァルト フルートとハープのための協奏曲 K.299
ヴォルグガング=アマデウス=モーツァルト クラリネット協奏曲 K.622

(二回目)
ヴォルグガング=アマデウス=モーツァルト ディヴェルティメント K.205
ヴォルグガング=アマデウス=モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 K.364

フルート:ジュリエット=ユレル
ハープ:吉野直子
クラリネット:ラファエル=セヴェール
ヴァイオリン:レジス=パスキエ
ヴィオラ:ジェヌヴィエーヴ=シュトロッセ

管弦楽:オーヴェルニュ室内管弦楽団
指揮:ロベルト=フォレス=ヴェセス

この演奏会は、ラ-フォル-ジュルネ新潟のプログラムの一環として開催された。約45分の演奏会を二回開催する形となる。着席場所は、「二階後方中央」とされるが、ブドウ畑型ホールの段差で階が異なる形となっており、実態は一階ほぼ中央と言える場所である。

一回目の演奏会はかなりの大入りで、三階席の正面はもちろんのこと、左右も舞台の真横まで使い、使用していない席は舞台の真後ろ(オルガン側)のみである。お昼を過ぎた絶妙な時間帯によるものか、美人フルート奏者ジュリエット=ユレルの写真によるものか、吉野直子人気によるものか、「フルートとハープのための協奏曲」という曲自体の人気なのか、私には分からない。おそらく、これらの複合した要因によるものか。

オーヴェルニュ室内管は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴィオラ→ヴァイオリン-チェロの順で、高弦から低弦に順番に並べた形である。第二プロトまでしかない少ない人数であるとは思えない程、巨大なりゅーとぴあをよく響かせている。

ジュリエット=ユレルのフルートは、やや埋没気味であるが、各楽章最後にあるカデンツァと第二楽章が良い。カデンツァは吉野直子との共同作業によるものであるが、特に第二楽章カデンツァの、アッチェレラントを掛けた部分は素晴らしく決まっている。ハープの吉野直子は、ソリストとしての自己主張を的確に行っている。

クラリネット協奏曲では、一転、ソリストと管弦楽とのバランスが良くなっている。ジュリエットに対して陰謀を仕掛けたのではないかと思いたくなるほどだ。ラファエル=セヴェールのクラリネットは実によく映えていたが、管弦楽のサポートが非常に巧みである。

ラ-フォル-ジュルネではあまりないことであるが、アンコールは、セヴェールによるクラリネット-ソロで、コダーイ作の「クラリネットのための小品」であった。

第二回目のプログラムは19時から、他の演奏会では3歳以上の入場を許可しているラ-フォル-ジュルネ、この演奏会のみは6歳以上と入場許可水準を挙げている。三階席は使わず、ちょっとさみしい客の入りだ。

最後の曲目である「ヴァイオリンとヴィオラの協奏交響曲」K.364、ヴァイオリンのパスキエは一癖二癖ある親父♪予測不能な我儘ぶりを発揮している。微妙にテンポを揺るがしたりして、管弦楽とわずかにずれたりしているが、これが面白い。一方でパスキエのヴァイオリンは、りゅーとぴあの大きな空間を朗々と響かせ、演奏をリードしていく意志を感じさせる。これ故に、一癖二癖あっても妙な説得力を持っているのだ。ヴィオラのシュトロッセは、ちょっと控えめなソロであるが、次第にパスキエに感化されたのか、ヴィオラのシュトロッセも調子を上げ、ラ-フォル-ジュルネ新潟最後の演目にふさわしい、華麗な終わり方であった。